私は流木
私は流木
海の旅人
誰も助けてくれない永遠の漂流者
魚と鳥の憩いの場
「島が見えたぞー」
私は海に流れる漂流者
マゼランやコロンブスより島を見つけた数は多いだろう
プラスチックゴミとは長年の知人
ペットボトルとは人よりも多くの出会いをした仲だ
私は親の顔をあまり覚えていない
私が親と別れてから月日は長い
というのも…
ある日、雷に打たれたような衝撃を受けて
いつの間に外界にいたのだ
私は大きな力に流されてばかりだ
運河に流され、
台風に流され、
海に流されて今に至る
今まで私は自分で決断して行動したことがない
誰かに任せて生きてきた
誰かの指示で動いてきた
誰かに合わせて進んできた
特に疑問を持たなかった
大きな力に付いていくのは楽だったし、
何より居心地が良かった
小さなミスでも自分は傷付かないし、
何も考えなくても済むし、
小さな努力で大きな成果が得られる快感が楽しかった
たまに鳥が休みに来て、誰かの役に立っていると自覚できるのも良かった
周囲は
「長いものに巻かれてる」だけとか
「虎の威を借る狐」だとか
「早く自立しなよ」とか
つまんない意見をしてくる奴はシカトしていた
自分が選んだ道で失敗するのは格好悪いし、
下手に行動して恥を晒すよりも、
身軽に大きな力に逆らわずに進む方がイイと考えていた
でも私は思い知った
漂流していて、陸地という社会に辿り着いた時
私はあまりに無力だとわかった
一人では前にも後ろにも進めない
自立して根を張ることもできない
何かを選択することもできない
勉強しようにも学べる相手がいない
周囲は私同様に何かに縋って生きてきたモノばかり
世間に置いていかれていることに気付いた時には
もう手遅れだった
振り返れば、
誰かに「そのままではダメだよ」と注意されたことは何度もあった
「君を変えられるのは君しかいないんだよ」と説得してくれる相手もいた
私は今さえ良ければどうでもイイと思っていたから
気にも留めなかった
今は無能である自分を見つめる毎日
太陽が昇るのを見て、太陽が沈むのを見て
月と星が横切るのを眺める日々
遠くに見える木々が雄々しく自立しているのを確認する度に
心と体が軋む
どこかでやり直すことはできないだろうか
あの時、あの場所で、自分で選択していれば…
あの日、あの相手に相談できていれば…
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」
私は一生の恥を背負って後悔する一生を送るだろう…
『私は流木』
Sweet Dreams!「よい夢を」
このエッセイを読んでいる人へ
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」
プライドなんて何の役にも立たない
自尊心が高く、高飛車でいられるのは心地よいと思います
プライドを持つことで得られるものは自己陶酔です
しかし、社会では通用しないし、不必要な要素です
ゴミより利用価値が無いものです
大きな力(権力のある先輩や上司、社会の流行など)に乗ることが悪いとは言いません
従わざるを得ない場面だってあるでしょう
だからと言って、
自分の命運を握られる状況を放っておいて良いはずがありません
自分で選択した道で失敗するのは恥ではなく「糧」です
他人に生殺与奪を握られていては傀儡と同じです
操り人形として、人に操られることに後悔しないならそれでも構いません
それを選ぶのも自由ですから
ただ、本当の自分として生きていきたいなら、自分で選択する勇気を持つようにしましょう
わからないなら、相談できる相手を見つけることから始めてみてください
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エッセイとは エッセイとは特定の文学的形式を持たず、書き手の随想(思ったこと・感じたこと・考えたこと)を思うがままに書き記した文章のことである らしいです つまるところ、「自由に考えたこと自由に書いていくもの」です 凝り固まった[…]