1日の最後に読むのに丁度よい記事集

【Sweet dreams essay】日記

私は日記

私は日記
少年・少女は私に夢を語ってくれた

「将来は野球選手になるんだ」
「大きくなったら、私はお花屋さんになる」
「大人になったら、立派な社長になってみせる」
「30歳までに、お金持ちになることをここに誓う」
彼らは様々な願望を私に教えてくれる

私に夢と希望が詰まっていく
これから強く生きていくために、未来に明るい言葉が並べられていく

 

時間が経って少年・少女は少し大人になる
青年男子・青年女子は私に今の気持ちを語ってくれた

「○○君と少しだけ話すことができて嬉しい」
「○○ちゃんと目が合ってドキドキした…少し恥ずかしい」
「いつも一緒に遊んでくれる友人と知り合えて本当に良かった」
「親友と明日には離れ離れ…悲しくて寂しいけど、また巡り合えるはず」
「試験がツライ…でも必ず合格するために今を乗り切るんだ!」
彼らは様々な感情を私に教えてくれる

私に気持ちと心情が詰まっていく
今を大切にするために、現在の儚い言葉が並べられていく

ふと、私は気付いた
前に比べて未来に向かっていく言葉が少なくなっている気がする
私に書かれてるのは今のことが多い
楽しいこと、ツライこと、嬉しいこと、寂しいこと
喜怒哀楽が印象に残る内容ばかりだ
今を大切にしているからだろう…

 

時間が経って青年男子・青年女子は少し大人になる
成人男性・成人女性は私に社会について語ってくれた

「仕事が辛すぎて入社早々に辞めたくなってきた」
「お客様のために仕事ができて楽しい!」
「あのムカつく上司がウザ過ぎる…」
「結婚おめでとう!次は私も!」
「あいつ昇進か、あいつは新しいプロジェクトリーダーか…はぁ」
「忙しいけど、チームで乗り越える仕事は充実感はある!」
「セクハラ、痴漢、マウント合戦…毎日疲れる」
「子供が生まれた!嬉しい!」
彼らは様々な苦楽を私に教えてくれる

私に社会への不満と仕事の遣り甲斐が詰まっていく
理想と現実の乖離に苦しんでおりながら、自分の居場所を探している言葉が並べられていく

私は気付いた
前に比べて、社会に対する考えが増えた気がする
羨望、中傷、怠慢、嫌気、焦燥、集中、充実、感動
難しい言葉だが、現実に苦労していることが窺える

 

時間が経って成人男性・成人女性は少し大人になる
中年男性・中年女性は私に命の尊さと社会の苦労について語ってくれた

「息子は反抗期、娘からは嫌われて…精神にクルな…」
「後輩の失敗の面倒を見る…これも私の仕事の一環」
「毎日家事と仕事の両立…目が回りそう」
「週末はいつもの如く家族サービス!オレの休日はどこに?」
「成長していく後輩や子供を見ていくのは自分のことのように嬉しい」
彼らは様々な責任を私に教えてくれる

私に家族やチームへの大切さが詰まっていく
輝かしい未来を想像していたことを忘れ、現実に忙殺されている言葉が並べられていく

私は気付いた
当の昔に描いた夢がいつの間にか消失していることに
「なりたい将来」は「なれない現在」か「なって満足した現在」となっている
未来への希望はもうないのだろうか?

 

時間が経って中年男性・中年女性は少し大人になる
初老男性・初老女性は私に過去の栄光と若者への皮肉を語ってくれた

「今の若い奴が積極的に動かないと社会はダメになる」
「若い人と比べられても体力とか考え方が違うからね」
「あの人と結婚したのは間違いだったかもしれない」
「昔の自分だったら、このくらいの仕事スグに終わっていたよ」
「20XX年には開発した○○の中心として働いて、チームを引っ張って…」
「今の若年層はわかっていない…精神も弱いし、軟弱だ」
彼らは様々な罵詈雑言と捩じ切れんばかりの歪んだ思想に囚われていることを私に教えてくれる

私に妬みや嫉みが詰まっていく
凝り固まった筋肉と同じように思考も凝り固まっていくのを感じる言葉が並べられていく

私は気付いた
文字は達筆でキレイだが、言葉が汚いことに
全部が全部そうではないが、多い傾向にあることが見て取れる
自分にも会社にも、社会にも不満があるのだろうか?

 

時間が経って初老男性・初老女性は少し大人になる
年配男性・年配女性は私に過去への後悔と今の自分について語ってくれた

「あの時、勇気を出して行動していたら変わっていたかもしれない」
「変わらず普通に生活できていることに感謝」
「孫を見ることができて、感無量だ」
「時々、死について考えることがある」
「昔の友人は今でも元気にやっているだろうか」
彼らは様々な言葉にすることが難しい念を私に教えてくれた

私に積年の想いや生きることへの新たな喜びや後悔が詰まっていく
元気な様相とは裏腹に諦めに近い言葉が並べられていく

私は気付いた
もう何も変えられない、何も変わらないという現実を受け入れてしまっていることに
奇跡も運命も神様も特に自分を変えてくれることはないとわかってしまっている
きっとツライ現実を受け入れて、生きていくためには過去を思い出す必要があるのだろう

 

長年、多くの人の記録を見てきた
人は「未来」→「現在」→「過去」へと年齢を重ねる毎に綴る内容が移行していく
経験が少なく生きることに渇望する時は「未来」のことを綴る
新しい経験を積んでいる時は「現在」のことを綴る
既に経験を終えてしまった時は「過去」のことを綴る

人は不思議な生き物で、時に輝く美しさを持っていたり、時に吐き気がする醜悪さを持っていたり
私を楽しませてくれる

明日はどんな経験や考えを聞かせてもらえるのか楽しみだよ

『私は日記』
Sweet Dreams!「よい夢を」

このエッセイを読んでいる人へ

明るい未来を描き続けることは難しいです
時に現実と現在に目を向けて立ち向かわなければならない場合もあります
時に過去を見詰め直し、反省と後悔から次への糧を求めることも必要となります

しかし、年齢を重ねていくと今までの経験値が邪魔をして、凝り固まった考え方をしてしまいがちです
そのことに気付ける人は少なく、柔軟な考えを持つように実践できる人はさらに、少ないでしょう

日記を書いて、明るい未来ではなく、過去に焦点が向いている人は
一度、将来の自分のことを想像する時間を設けてはいかがですか?

エッセイについてはコチラを確認してください

エッセイについて

エッセイとは エッセイとは特定の文学的形式を持たず、書き手の随想(思ったこと・感じたこと・考えたこと)を思うがままに書き記した文章のことである らしいです つまるところ、「自由に考えたこと自由に書いていくもの」です 凝り固まった[…]

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