私は刀
私は「刀」
最初はただの鉄の塊
異端な姿から周りからは汚れた金属だの、ブサイクだの、穢れた血だの
私を嘲笑う中傷ばかりだ
自分で言うのもなんだが、ハッキリ言って醜いと思う…
私は荒んだ、荒れ果てた…
誰にも求められていないと感じた
生まれてきたことを恥じた
存在価値がないと自分で決めつけていた
しかし、そうではなかった
私はただ無知なだけだ
「井の中の蛙、大海を知らず」と言ったところか
場所が変われば価値観が異なる
時代が変われば考え方が変わる
私を変えたのはある人との出会いだ
傷付いた私が巡り合ったのはしがない鍛冶師
彼は私に情熱を注いだ
燃え上がる炎のように熱い炉の中で、恋にも似た熱さを感じた
熱い時に強く激しく打たれ、気持ちと共に体に変化が現れた
時に冷たい水の中で冷静に考える時間もあれば、
また熱い情熱が私を包む…
何度も繰り返し精錬されていくことであることに気付いた
私は鉄ではなく、玉鋼だったという事実に
すっかり以前の面影はなく、鋭く、美しい姿に変わっていた
あぁ、今まで自分のことを卑下してきたが、十分に素質があったということだ
繊細で傷付きやすいところは変わらないが鋭い閃光を纏い
一刀両断する魅力を備えることができた
今までは周囲の意見に惑わされて狂っていただけだ
恐らく、私は幸運だったと言わざる負えない
私を評価してくれる人物に出会うことができたからだ
同じ苦しみを持っている同胞がいるなら気付いて欲しい
周囲に馬鹿にされているのは小さな世界だ
外界に目を向けるのは怖いだろうが、踏み出す勇気を持ってほしい
輝いていないなら、君の価値は違う世界にあるのだから
『私は刀』
Sweet Dreams!「よい夢を」
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