私は偽物
私は偽物
限りなく本物に近い存在
本物成分98%
私の人からの印象は最悪だ
「偽物だから価値がない」
「偽物買わされた!最悪~」
「スグに壊れたと思ったらやっぱり偽物じゃん」
「本物っぽい偽物って無価値だよね」
私の価値を理解していない愚かな人が毎日のように私を卑下し侮辱する
私はそんな現状に耐えられない!
とにかく、この人たちは私の存在を否定することから始めたがる
私はそんな愚かな人たちに物申すことにする
まず、私とは何か
私とは「似せて作ったもの」
つまり、本物をリスペクトしてトレースしているモノである
「トレースしている」ここが重要だ
本物になろうという意志が私にはある
「トレース」聞き馴染みがないかもしれないが
これは人がよく行う行動である
では問答で考えてみよう
Q.勉強はどうやって学ぶ?
A.教師や教科書といった先人の知恵を学習するために真似する
Q.スポーツはどうやって上達する?
A.上手い選手やプロを動きや考え方を真似する
Q.美味しい料理はどうやって作る?
A.レシピを忠実に再現する
どうだろうか?
全ての上達や学習にはトレースが関わっている
本物になろうと励む姿は美しい
しかし、その過程はトレースをしていることがわかる
トレースすることが最も本物になるための近道であるからだ
果たして
成長や学習で上達している途中は本物と言えるのだろうか?
これでは納得がいかない人も多いだろう
では、別の方向性で考えてみる
人は資格や評価を手に入れるために試験を受ける
高校受験でも大学受験でもTOEICでもイイ
そこには合格ラインが設けられている
「100点満点中60点」や「100点満点中80点」など
100点満点を取る必要はない
合格ラインを超えていれば、”合格”として評価がもらえる
では私はどうだろうか?
本物とは言えないが、90%以上トレースできている
これは合格ラインを超えていると言って差し支えないのではないか
しかし、人は私を許さない
如何に精巧に作っても、如何に巧妙に作っても
受け入れようとしない
私は悟った
本物以外に価値を見出さない人は何を言っても無駄だろう
奴隷を縛る拘束器具のように固定概念に縛られている
彼らを解き放つための鍵は持ち合わせていない
だからこそ、
固定概念に囚われていない人に私は訴えたいのだ
「偽物こそ崇高、偽物しか買わない!」っと言って欲しいのではない
偽物にしかない価値を知ってほしいのだ
人が偽物を悪く言うのは人が私を貶めたことにある
本物をリスペクトして私を作り、「これは偽物だ」と本人が認めていれば問題ない
しかし、完成度が高い私を狙って、狡い人たちが本物と偽りだす
これが私を悪役にしている
制作者は悪くない
私を本物として偽る者たちが悪いのだ
そして、制作者と私が避難を受ける
このような悲劇を繰り返し続けているのだ
この悲しい連鎖を止めるために私は私を弁護しにきたわけだ
ここまで私について語ってきたが、
本物と私には明確な差がある
それは「信用」だろう
信用があるからこそ、本物は敬われ、私は疎まれる
一般的な信用を得るためには私とい存在は難しい
だが、私にも信用があれば、本物以上の価値になると言える
わかりやすく例題で考えてみる
Q.二人の人物はどちらの方が価値があるのか?
A:「貧乏ながら善良であり、医学に精通しているが医師免許を持っていない偽物」
B:「裕福ながら悪意があり、人を貶めて金銭をせしめるが医師免許を持っている本物」
今回の例では価値を判断する上で必要なのは医師としての資質だ
医師は人命救助のために存在する
医師免許がなく、偽物のAさんだが、医師としての資質がある
一方、富や名誉のために医師としての資格を利用するBさんに価値はあるだろうか?
これでも私に価値がないと言えるだろうか?
最後にはなるが、
偽物の価値についてあなたに質問をしてみよう
「区別がつかないほどの本物と私(偽物)、どちらが価値があると思う?」
『私は偽物』
Sweet Dreams!「よい夢を」
このエッセイを読んでいる人へ
偽物からの熱いメッセージはいかがでしたか?
私たちは本物に拘り過ぎてはいませんか?
本物でも精巧にできていないことだってある
本物でも失敗することだってある
偽物でも完璧な仕上がりになっていることだってある
偽物でも成功することだってある
小さなことに拘ってグチグチ言うのは心が狭い証拠だ
本質を捉えれば何事にも価値はあるのだ
さて、偽物から最後の質問ですが、3つの回答に分かれる
・本物に価値がある
本物がある以上本物が最も価値があるかもしれない
・本物も偽物も同等の価値
区別がつかないなら本物と同等の価値があるかもしれない
・偽物に価値がある
本物になろうと近づこうという意志が存在する私の方が価値があるかもしれない
あなたはどう感じただろうか
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エッセイとは エッセイとは特定の文学的形式を持たず、書き手の随想(思ったこと・感じたこと・考えたこと)を思うがままに書き記した文章のことである らしいです つまるところ、「自由に考えたこと自由に書いていくもの」です 凝り固まった[…]